高耐疲労合金:Fe-15Mn-4Si-10Cr-8Ni
Fe-15Mn-4Si-10Cr-8Ni(FMS)合金の基本特性と応用
長周期・長時間地震動、巨大地震、複数回の大型余震対策に対応した耐疲労特性に優れた従来概念を超える鋼材ダンパーが必要と考え、耐疲労特性を一般の鋼材に比べて約10倍に高めたFMS合金※を開発しました(2017年特許登録)。
※FMS合金:組成Fe-15Mn-10Cr-8Ni-4Si(質量%)のオーステナイト鋼。鉄系形状記憶合金の相変態(応力誘起マルテンサイト変態とその逆変態)を利用して繰り返し変形に対する耐久性を高めた。(国研)物質・材料研究機構、(株)竹中工務店、淡路マテリア(株)の共同開発。
優れた疲労耐久性を有する
・低サイクル疲労寿命は低降伏点鋼(LY225)の約10倍
1)I. Nikulin, T. Sawaguchi, A. Kushibe, Y. Inoue, H. Otsuka, K. Tsuzaki, Effect of strain amplitude on the low-cycle fatigue behavior of a new Fe-15Mn-10Cr-8Ni-4Si seismic damping alloy, Int. J. Fatigue 88(2016)132-141.
2)L. Yang, Y. Gao, G. Shi, X. Wang, Y. Bai, Low cycle fatigue property and fracture behavior of low yield point steels, Const. Build. Mater. 165(2018)688-696
その他の特筆すべき特性
・シャルピー吸収エネルギーは、-196~100℃において高く、250J以上
応用Applications
・本合金を心材に使用したせん断パネル型制振ダンパーがJPタワー名古屋に、ブレース型制振ダンパーが愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)に適用されています。
JPタワー名古屋に適用されたせん断パネル型制振ダンパー
参考資料
●2014年5月13日せん断パネル型制振ダンパーがJPタワー名古屋に採用されました
世界最高峰 の疲労耐久性を有する新合金を用いたビル用制振ダンパーを開発
新しい疲労緩和 メカニズムの発見と製造技術のブレークスルー
●2016年4月18日 日本建築学会賞(技術)受賞 (参考動画)
愛知県国際展示場に適用されたブレース型制振ダンパー
外部リンク:耐久性を10倍高めた制振ダンパーを開発、「Aichi Sky Expo」に16本を初適用
参考資料
●2019年8月30日 プレス発表 ブレース型制振ダンパーが愛知県国際展示場に採用されました
従来鋼材の約10 倍の疲労耐久性を有する制振ダンパーにブレース型が登場
補足資料:連続鋳造法によるFe-Mn-Si系耐疲労合金大型厚板の製造
●製造サイズ(下記サイズ以外はご相談ください)
・厚さ8~34mm×幅1300~1500mm×長さ10m以内
●2022年3月4日 「ふぇらむ」Vol.27(2022)No.3 実用化が進む鉄系形状記憶合金」掲載
「ふぇらむ」の巻頭記事Vol.27(2022)No.3 P116~117 (日本鉄鋼協会会報)で、実用化が進むFe-Mn-Si系合金のクレーンレール用継目板と優れた疲労耐久性を持つ制振ダンパーが紹介されました。(日本鉄鋼協会の転載許可済)
論文リスト
制振ダンパー関連論文
解説(制振ダンパー)
国内学会等発表(制振ダンパー)