「溶接技術」2月号「耐疲労制振ダンパーを実現した新合金・溶接材料開発」掲載
一般社団法人日本溶接協会誌 「溶接技術」第68巻第2号(産報出版株式会社)に「耐疲労制振ダンパーを実現した新合金・溶接材料開発」が掲載されました。
共著者:櫛部淳道、井上泰彦、梅村建次(竹中工務店)
中村照美、澤口孝宏(物質・材料研究機構)
大塚広明、
千葉悠矢(淡路マテリア)
本稿は、芯材にFMS合金圧延材を用いた平鋼断面のブレース型(筋交い型)座屈拘束制振ダンパーとこれを実現するためのコア技術となった耐疲労FMS合金とその専用溶接材料についての解説です。
長尺の大型圧延材の製造が可能になったこと、建築構造用鋼材との溶接が可能になったことにより、汎用性が高いブレース型のバリエーションが加わり、建築・土木・住宅分野など様々な建種、空間プランへの展開が可能となりました。
また、FMS合金は極めて優れた耐疲労特性の他にも優れた低温じん性や耐食性も有しており、疲労が問題とされる様々な産業分野への応用も期待されています。
淡路マテリア 赤萩フランジ合併のご案内
淡路マテリア と 赤萩フランジ は 2020年1月1日 合併しました。
新生 「 淡路マテリア 」 に 引き続きご愛顧を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
12月3日【開発部門】「溶接構造シンポジウム2019」シンポジウム論文賞受賞
一般社団法人溶接学会 溶接構造研究委員会主催の「溶接構造シンポジウム2019」において、国立研究開発法人物質・材料研究機構、株式会社竹中工務店とともにシンポジウム論文賞を受賞しました。
受賞論文:耐疲労制振ダンパー合金の溶接技術
受 賞 者:中村照美〔筆頭著者〕、澤口孝宏(物質・材料研究機構)
大塚広明、
千葉悠矢(淡路マテリア)
櫛部淳道、井上泰彦(竹中工務店)
本論文は、FMS合金連鋳材と新開発の溶接ワイヤを用いたFMS-建築構造用鋼材の異材溶接技術開発および溶接構造ブレース型制振ダンパーの試作・性能評価、愛知県国際展示場PJでの実用化に関して報告したものです。
優れた疲労耐久性能と性能安定性を有する溶接ブレース型FMS合金制振ダンパーが、建物の長周期・長時間地震動対策技術として今後幅広く産業界に貢献すると期待され、この度の受賞となりました。
*シンポジウム論文賞の概要*
溶接構造シンポジウムは、一般社団法人溶接学会 溶接構造研究委員会が主催し、1991年の第1回開催以来隔年で開催されている溶接構造に関する設計、施工、材料、検査等の広範にわたる最新の研究発表がなされるシンポジウムです。
シンポジウム論文賞は、シンポジウムにおいて発表される論文の中で、学問上、技術上優秀と認められる論文の著者に授与されます。
論文審査委員会(委員長 望月正人教授、委員14名)の審査により、総応募論文数97件の中から選考されました。
12月13日非破壊試験技術者表彰 受賞
一般社団法人 日本非破壊検査協会で認証事業50周年記念技術表彰者に当社の役員が表彰されました。
受賞者 杉村誠一 (執行役員社長室長)
この賞は高位資格である「非破壊検査総合管理技術者」を25年以上保持し貢献した技術者が受賞対象となっています。
受賞者は最上位資格である『非破壊検査 総合管理技術者』を旧制度の“非破壊検査 特級技術者”の取得から通算して33年間にわたり保持し、メーカー系企業におけるNDT高位資格技術者として従事してきたことが評価されたようです。
なお、この資格は試験・検査を職業とする企業の方が有資格者として多く、 メーカー系企業での有資格者としては180名中の10%ぐらいだと推測されます。
Fe-Mn-Si系ブレース型制振ダンパー採用の記事が鉄鋼新聞に掲載されました。
2019.8.30 Fe-Mn-Si系ブレース型制振ダンパーが愛知県国際展示場に採用された記事が鉄鋼新聞に掲載されました
以下、記事全文 淡路マテリアなど、新「ブレース型制振ダンパー」開発。 『高耐疲労合金使用、母材厚板は日鉄ステンレスに委託』 溶接継手の製造および素材・技術開発を手掛ける淡路マテリア(社長・三尾堯彦氏)、物質・材料研究機構(NIMS)、竹中工務店が共同開発した疲労耐久性に著しく優れるFe―Mn―Si系合金を心材に使用したブレース型制振ダンパーが、きょう30日にオープンする愛知県国際展示場「Aichi Sky Expo」(愛知県常滑市)に初めて採用された。
ダンパーの心材には、淡路マテリアが日鉄ステンレスに委託して連続鋳造、圧延した厚板を初めて母材に使用。ブレース型ダンパーの製造は同厚板と一般建築用鋼材の溶接技術の確立により実現した。汎用性が高いブレース型ダンパーの登場により今後、一般建築から超高層建物までさまざまな空間プランに幅広く対応可能となる。
ダンパーの素材は鉄を主成分としてマンガン(Mn)やケイ素(Si)を添加した合金(Fe―Mn―Si系合金)。現在一般的に使われている素材の約10倍の疲労耐久性を持ち、靱性や耐腐食性にも優れている。
同合金は2014年に竣工したJPタワー名古屋の「せん断パネル型制振ダンパー」に採用されたが、一般建築用鋼材との溶接構造を有するブレース型制振ダンパーとしての採用、連続鋳造材から製造した板の使用は今回が初めて。本案件では、鋼管にモルタルを充填した座屈拘束ブレース型制振ダンパー(部材長約6メートル、最大分担荷重約2千キロニュートン)が愛知県展示場の西棟(100メートル×100メートルの無柱空間展示ホール)に16本採用された。
今回の共同開発では、NIMSが「Fe―Mn―Si合金」と一般建築用鋼材との接合用溶接材料の開発と溶接条件の最適化を行い、淡路マテリアは同合金板の委託製造と溶接施工によるダンパー心材の製作、竹中工務店はブレース型ダンパーの設計と性能評価を担当した。
連続鋳造、圧延により大型部材を大量生産できる合金製造方法、「Fe―Mn―Si系合金」と一般鋼材の異種金属溶接技術の確立で、より汎用性の高いブレース型ダンパーの製造が可能となった。制振ダンパーのバリエーション拡大を生かし、今後建築分野に加えて土木・他産業分野への応用も目指す。
Materials Transactionsに掲載された共著論文が被引用回数第1位を獲得
国内の材料系14学協会の共同刊行欧文誌であるMaterials Transactionsにおいて、当社の丸山忠克(元顧問)・大塚広明(開発グループ部長)を含む下記共著論文が2015〜2019年の被引用回数第1位となりました。(日本金属学会による)
〈論文タイトル〉 Design Concept and Applications of Fe–Mn–Si-Based Alloys—from Shape-Memory to Seismic Response Control
〈著者名〉 Takahiro Sawaguchi, Tadakatsu Maruyama, Hiroaki Otsuka, Atsumichi Kushibe, Yasuhiko Inoue, Kaneaki Tsuzaki.
〈掲載誌名〉 MATERIALS TRANSACTIONS,Vol.57,No.3(2016)pp.283 to 293
制振ダンパー用FMS合金特許成立
疲労寿命に著しく優れるFMS合金の成分に関する国内特許が成立し、8月4日付で登録されました。
本材料は、制振ダンパー用材料としてJPタワー名古屋に適用され、今後も建築・土木分野への適用が期待されています。
特許番号 :第6182725号
発明名称 :制振合金
特許権者 :国立研究開発法人物質・材料研究機構 株式会社竹中工務店 淡路マテリア株式会社
発 明 者 :澤口孝宏氏,櫻谷和之氏,小川一行氏,長島伸夫氏,古谷佳之氏,関戸信彰氏,小林覚氏,中村照美氏,西村俊弥氏,
津崎兼彰氏(出願時所属 物質・材料研究機構) , 櫛部淳道氏,井上泰彦氏,菅田昌宏氏(竹中工務店),
丸山忠克,杉村誠一,千葉悠矢(淡路マテリア)
日本建築学会賞受賞記事が鉄鋼新聞に掲載されました。
2016年5月30日 日本建築学会賞贈呈式についての記事が鉄鋼新聞に掲載されました。
<以下、平成28年6月1日「鉄鋼新聞」第3面記事内容>
日本建築学会主催の2016年表彰で、竹中工務店の櫛部淳道氏と物質・材料研究機構の澤口孝宏氏、淡路マテリア顧問の丸山忠克氏、九州大学教授の津崎兼彰氏の4人が「疲労耐久性に優れた新合金鋼制振ダンパーの開発」の功績で日本建築学会賞を共同受賞した。
技術部門での受賞。既存の低降伏点鋼に比べて耐久性を大幅に高めた画期的な合金鋼を開発し建築への応用に成功したとして評価された。30日夕に都内で贈呈式が行われ、代表の櫛部氏に記念の賞状が贈られた。
(写真左から澤口氏、櫛部氏、丸山、津崎氏)
4月18日 日本建築学会賞(技術)受賞
2016年 日本建築学会賞(技術)受賞 一般社団法人 日本建築学会の「2016年日本建築学会賞」の受賞者が2016年4月18日に発表され、当社は株式会社竹中工務店、国立研究開発法人物質・材料研究機構、九州大学とともに、「技術」賞※を受賞しました。賞の贈呈式は、5月30日に建築会館ホールにて開催されます。
※近年中に完成した建築技術であって、技術の発展に寄与し、優れた成果に結実した技術に贈られる賞
業績名:「疲労耐久性に優れた新合金鋼制振ダンパーの開発」
受賞者: 丸山忠克 淡路マテリア株式会社 顧問
櫛部淳道氏 株式会社竹中工務店 技術研究所 建設材料部 先端材料グループ長
澤口孝宏氏 国立研究開発法人物質・材料研究機構 構造材料研究拠点
社会空間材料分野 振動制御材料グループ グループリーダー
津崎兼彰氏 九州大学 大学院工学研究院 機械工学部門 教授
*業績紹介
(Youtube動画)を是非ご覧ください。
〈以下、日本建築学会ホームページより 選考経過(抜粋)〉 2016年の技術部門の応募は9件であり、候補業績の分野は、材料・施工関係2件、構造関係3件、環境工学関係2件および複合関係(防災関連)が2件であった。
(中略) 表彰業績候補「疲労耐久性に優れた新合金鋼制振ダンパーの開発」は、既存の低降伏点鋼に比べて疲労に対する耐久性を大幅に高めた合金鋼を創出し、従来の材料では疲労の問題があった長周期・長時間持続の地震動対策に適用できる制振ダンパーを開発したものである。
開発の発想は形状合金の塑性変形様式を制振ダンパーに応用することであったが、その過程で新たな発見を行い疲労耐久性に優れた合金鋼の開発に成功している。合金鋼の開発自体は金属学分野に属する成果であるが、当初より制振ダンパーの開発を目標とし、この画期的な成果を生み出して建築的な応用に成功したことが高く評価された。(後略)
当社の技術開発部門長が、「ベッセマー+200の鉄と社会」にて講演致しました
エコマテリアル・フォーラム主催「ベッセマー+200の鉄と社会」第4回シンポジウムにて、当社の技術開発部門長 丸山忠克が講演致しました。
このシンポジウムは、今から約40年先の西暦2050年(この年はベッセマー転炉が発明されてからほぼ200年目にあたり、今年卒業の大学生が60歳の定年を迎える頃でもある)に日本の社会において必要とされる鉄鋼の、使われ方や製造方法などについて自由な議論を行い、今後の材料科学の開発課題に関する有用な示唆を抽出するために継続的に開催されているもので、今回はその第4回目(主催;エコマテリアルフォーラム、共催;物質・材料研究機構元素戦略センター)。
丸山の講演内容については、
資料(PDF)をご覧いただけます。
プログラム
(1) 「ベッセマー+200の鉄と社会」WGの紹介 (東京大学/醍醐市朗)
(2) 2050年に向けてわが国の鉄鋼技術に求められるもの ((独)物質・材料研究機構/津崎兼彰)
(3) 薄鋼板圧延技術の進歩と回想 (金沢工業大学名誉教授/川並高雄)
(4) 鉄鋼表面処理鋼鈑の進歩と展望 (JFEスチール(株)/藤田 栄)
(5) 鉄系形状記憶合金の開発とプロセス(淡路マテリア(株)/丸山忠克)
「ベッセマー+200の鉄と社会」
http://emf.sntt.or.jp/emf/wg_ws_sy/ws/ws111209.html